お腹の張りや腹痛、下痢や便秘など…なかなか治らない腸の不調に悩んでいませんか?
低フォドマップ食(Low FODMAP diet)は、過敏性腸症候群(IBS)などの症状をやわらげる食事療法として注目されています。
この記事では、低フォドマップ食の基礎をやさしく学べるおすすめ本2冊をご紹介します。
科学的な根拠に基づいた情報をもとに、毎日の食事を見直すきっかけにしてみませんか。
▼この記事の内容
低フォドマップ食とは?IBSと関係する腸トラブル
突然お腹が痛くなったり、下痢や便秘が続いたり…。そんな腸トラブルに悩まされていませんか?
過敏性腸症候群(IBS)は、日本でも多くの人が抱えている消化器の不調です。
低フォドマップ食(Low FODMAP diet)は、小腸で吸収されにくい糖質「FODMAP(フォドマップ)」を減らすことで、腸にたまるガスや水分を抑え、腹痛や膨満感、下痢・便秘などの症状をやわらげる食事療法として注目されています。
FODMAPとは?
FODMAPとは、次の英単語の頭文字をとった言葉です。
- Fermentable(発酵性)
- Oligosaccharides(オリゴ糖)
- Disaccharides(二糖類)
- Monosaccharides(単糖類)
- And(そして)
- Polyols(ポリオール=糖アルコール)
これらは、小腸で吸収されにくく、腸内で発酵してガスや水分を増やしやすい糖質のグループです。
FODMAPを多く含む食品を減らすことで、腸にかかる負担を軽減し、症状がやわらぐ場合があります。
海外では医療現場でも導入されています
低フォドマップ食は、欧米やオーストラリアではIBS治療の選択肢のひとつとして、医師や管理栄養士の指導のもとで取り入れられています。
ガイドラインでも「専門家の指導下で行うべき」ことが明記されており、エビデンスに基づいた治療戦略とされています。
📖 詳細:英国・オーストラリアのガイドラインにおける位置づけ/エビデンスと注意点
日本ではまだ認知度が低め
日本では低フォドマップ食の認知度はまだ高くありません。
標準的に導入している医療機関は限られており、自己流で制限すると栄養バランスを崩すリスクもあります。
だからこそ、信頼できる書籍で基礎から理解し、無理のない範囲で「自分に合う」やり方を見つけるのがおすすめです。
おすすめの2冊
復刻版『過敏性腸症候群の低フォドマップ食』

日本における低フォドマップ食研究の第一人者・宇野良治医師による解説書。
低フォドマップ食の理論と実践を日本向けに体系化しており、避ける/食べてもよい食材リストや献立例も充実しています。
「低フォドマップ食®」は商標も正式に登録されており、安心して学べる一冊です。
『乳酸菌と食物繊維が腸を壊す』(宝島社新書)

「体に良い」とされてきた乳酸菌や食物繊維も、腸内環境が乱れている人にとっては逆効果になることがある――。
本書は、過敏性腸症候群(IBS)を長年診てきた宇野良治医師が、腸で起こる異常発酵やガス発生のメカニズムを、科学的根拠と豊富な臨床経験に基づいて解説しています。
さらに、症状を悪化させやすい食品や習慣を見直すための自己チェックシートや具体的な改善指針も収録されており、日常生活にすぐ活かせる実践的な一冊です。
どちらの本から始める?選び方のポイント
📗 『過敏性腸症候群の低フォドマップ食』がおすすめの方
- 低フォドマップ食を基礎から体系的に理解したい
- 何を避けて、何を食べればいいか具体的な指針がほしい
- 信頼できる情報をもとに、計画的に実践を始めたい
低フォドマップ食をこれから始めたい方に最適な入門書です。日本における第一人者である宇野良治医師が、科学的根拠に基づいて体系的にまとめており、初心者でも安心して取り組めます。
📘 『乳酸菌と食物繊維が腸を壊す』がおすすめの方
- ずっと腸の不調が続いていて原因が分からず困っている
- 「体に良いはず」と思って摂っている食品が合っていない可能性を知りたい
- まずは食べ物と症状の関係を見直し、自分の傾向を把握したい
食生活をガラッと変える前に、自分にとっての「刺激になっている食品」を見極めるヒントが得られる本です。自己チェックを通して、腸内環境と不調の関係に気づくことができます。
英国・オーストラリアのガイドラインにおける位置づけ
英国:BSGガイドライン
英国消化器病学会(BSG)2021年ガイドラインでは、 低フォドマップ食が「second-line(第二選択)の食事療法」として正式に言及されています。
“A diet low in fermentable oligosaccharides, disaccharides, monosaccharides and polyols, as a second-line dietary therapy, is an effective treatment for global symptoms and abdominal pain in IBS, but its implementation should be supervised by a trained dietitian …”
オーストラリア:Monash大学・Dietitians Australia
Monash大学やDietitians Australiaも、低フォドマップ食を IBS症状の管理に役立つ戦略のひとつと公式に紹介しています。
“The low FODMAP diet is one of the strategies that can help manage symptoms of IBS. It should be done under the guidance of an experienced dietitian.”
低フォドマップ食に関するエビデンスと注意点
- 複数の臨床研究で、IBS患者において腹痛・膨満感・下痢・便秘などの症状が改善されたと報告Black et al. 2022
- ただし、長期的な有効性はまだ十分に確立されていない
- 自己判断で制限を続けると栄養バランスを崩すおそれもあるため、専門家の指導を推奨
まとめ|正しい知識を得て、腸から健康を考える一歩に
低フォドマップ食は、過敏性腸症候群(IBS)などの腸トラブルに悩む方にとって、症状と向き合うための選択肢のひとつとされています。
海外では医療現場でも取り入れられていますが、日本ではまだ情報が限られていて、自己流で始めると続けにくかったり、思うような変化が感じられないこともあるようです。
だからこそ、まずは信頼できる書籍を通して、正しい知識を少しずつ取り入れてみることが大切だと感じています。
今回ご紹介した2冊は、どちらも科学的な根拠と臨床経験に基づいて書かれていて、腸にやさしい食生活を考えるときの手がかりになります。
また、当サイトでは、低フォドマップ食をベースにしたおやつレシピを紹介しています。
本を通して学んだ知識を、レシピを見ながら少しずつ日々の食事に取り入れていけるよう、これからも一緒に考えていけたらうれしいです。
