近年、健康や自然志向の高まりとともに 「古代小麦(スペルト小麦・カムート小麦・アインコーン小麦など)」 が注目されています。
古代小麦は品種改良されていないため、小麦本来の風味が豊かで、消化にやさしいといわれています。パンやパスタ作りにも使いやすく、グルテンに敏感な方や健康を意識する方から支持を集めています。
この記事では、私が実際に使った古代小麦(スペルト・カムート・アインコーン・シチリア産マヨルカ小麦)の特徴や、食べてみた感想、レシピでの活用方法をご紹介します。
古代小麦の魅力
豊かな風味と食感
スペルト小麦は香ばしいナッツのような風味を持ち、パンにすると一口ごとにしっかりとした旨みを感じられます。カムート小麦は粒が大きく甘みがあり、パスタやクッキーにすると独特のコクが楽しめます。アインコーン小麦は最古の小麦とされ、素朴で優しい味わいが特徴です。
消化のしやすさ
古代小麦は現代小麦に比べて構造がシンプルで、消化がしやすいといわれています。そのため、腸にやさしい食生活を心がける方に選ばれることが多いです。ただし、グルテンを含んでいるため、グルテンフリーを必要とする方には適しません。
古代小麦を取り入れる際の注意点
古代小麦は「グルテンが少なめ」と言われることがありますが、完全なグルテンフリーではありません。
小麦アレルギーやセリアック病のある方は摂取を控える必要があります。
また、体質によっては消化の合う・合わないがありますので、初めて試す際には少量から様子を見るのがおすすめです。
古代小麦の主な種類と特徴
古代小麦と一口にいっても、いくつかの種類があります。それぞれに風味や栄養価、調理のしやすさなどに違いがあり、料理やパン作りの楽しみを広げてくれます。ここでは代表的な古代小麦をご紹介します。
スペルト小麦(ファッロ・グランデ)

古代ローマ時代から食べられてきた歴史のある小麦です。現代小麦よりもグルテンはやや多めですが、品種改良をほとんど受けていないため、消化に優しいとされています。ナッツのような香ばしい風味が特徴で、パンだけでなく粒のままスープやサラダに利用されることも多いです。
カムート小麦(コーラサン小麦)

古代エジプトに由来すると伝えられる大粒の小麦で、「カムート」は商標名として知られています。たんぱく質やミネラル、セレンを多く含み、ほんのり甘みのある味わいが特徴。パスタやパンにすると、もちもちとした食感と深いコクが楽しめます。
アインコーン小麦(ヒトツブ小麦)


最古の栽培小麦とされる種類で、粒がとても小さいのが特徴です。グルテン量は少なく、アレルギーのある人でも比較的取り入れやすい場合があります。ビスケットやクラッカーなどの焼き菓子にすると、素朴で香ばしい風味が際立ちます。
フタツブ小麦(エンマー小麦)

中世ヨーロッパで広く食べられていた小麦で、スペルトと同じ「ファッロ」の仲間です。味わいは濃く、噛むほどに香ばしさが広がります。粒のままリゾットやスープにすると、歯ごたえが心地よく、現代でも健康食材として見直されています。
マヨルカ小麦(シチリア在来種)

シチリア島で今も伝統的に栽培されている在来小麦です。粉は白くてやわらかく、甘みがあるため、クッキーやケーキなどのお菓子作りに向いています。近年は復活栽培が進み、シチリアの食文化を象徴する小麦として再び注目されています。
古代小麦の魅力とメリット
低フォドマップを意識する人にも:一部の人にとって消化にやさしいと感じられることがあります。
香りと風味:それぞれの小麦に個性的な香りがあり、パンや料理に深みを与えます。
栄養の豊富さ:食物繊維やミネラルを多く含むとされ、健康志向の人からも注目されています。
伝統的な食文化:イタリアや中東では、今でも古代小麦を使った伝統料理が食べ継がれています。
パン以外の使い方
古代小麦は粉にしてパンやパスタを作るだけでなく、粒のまま料理に使うこともできます。
私がイタリアのトスカーナ州でホームステイをしていたとき、地元の食卓でよく登場したのが「ズッパ・ディ・ファッロ」でした。スペルト小麦の粒と野菜、豆を煮込んだ温かいスープで、噛むほどに広がる小麦の甘みと香りが体にしみわたるような味わいでした。粒の食感が残るため、パンやパスタとは違った形で古代小麦を楽しめる一品です。
実際に古代小麦を取り入れてみて
私自身、古代小麦に魅力を感じて、さまざまな形で取り入れてきました。
イタリアから個人輸入した古代小麦
自宅でパンを焼くために、スペルト小麦やマヨルカ小麦の粉を取り寄せました。風味が豊かで、現代小麦とは一味違う香ばしさを感じられます。

スペルト小麦の発芽パン(市販品)
市販の発芽スペルトパンを試したこともあります。噛むほどに甘みが広がり、日常の食事に取り入れやすいと感じました。

自宅での小麦栽培
スペルト小麦の種を海外から取り寄せてプランターにまいたところ、小さな芽が次々と出て、やがて細長い葉が伸び、しっかりとした穂をつけました。ベランダに小さな小麦畑が広がっていく様子は感動的で、収穫した穂を手にしたときには「昔の人も同じように小麦を育てていたのだ」と実感できました。

フタツブ小麦(エンマー小麦)を育て、青々とした葉をジューサーで絞ってジュースにしました。爽やかでクセが少なく、朝の一杯にぴったりでした。小麦を自分で育て、その若葉を味わうという体験は、日本ではあまり見られないユニークな楽しみ方だと思います。


こうした体験を通じて、古代小麦は「特別な食材」であると同時に、日常に取り入れられる身近な存在でもあると感じています。
まとめ
古代小麦は、現代の食生活に安心感と新しい楽しみを与えてくれる食材です。
それぞれの種類に個性があり、パンやパスタだけでなくスープやサラダなど、さまざまな料理に活かせます。
私自身、古代小麦を取り入れてから「小麦の香ばしさや食感の違い」を楽しめるようになり、日々の食卓が少し特別な時間になりました。
まずは 市販の古代小麦パン や 手軽に使える粉・粒タイプ から試してみるのもおすすめです。きっと、自分や家族に合った「お気に入りの古代小麦」が見つかると思います。
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