外はカリッと香ばしく、中はふんわり。シンプルながら奥深い味わいが魅力のイタリア伝統料理「アルヴォルトロ」をご存じですか?
イタリア中部ウンブリア州の町ベヴァーニャで開かれる中世祭「Il Mercato delle Gaite(イル・メルカート・デッレ・ガイテ)」で親しまれてきた、素朴な揚げピザです。
塩を振ればおつまみに、砂糖をまぶせばスイーツに。今回は、香ばしさが特徴の古代小麦を使い、ご家庭で作りやすいレシピにアレンジしました。おやつにも軽食にもなる万能な一品を、ぜひ再現してみてください。
レシピのきっかけ
私が初めてアルヴォルトロを食べたのは、イタリア留学中に訪れたベヴァーニャの中世祭でした。石畳の路地に旗が飾られ、人々が中世風の衣装をまとい、当時の暮らしを再現する特別な祭り。そこで地元の職人さんが、その場で生地を伸ばし、油の中に落とすとジュワッと音を立てて揚げていました。
熱々の生地に塩をふったものは、素朴なのにワインが進むような奥深さ。砂糖をまぶしたものは、まるでお祭りの屋台スイーツのような楽しさがありました。どちらもシンプルなのに忘れられない美味しさで、帰国後もずっと記憶に残っていました。
その感動をもう一度味わいたくて、古代小麦を使って家庭向けにレシピをまとめたのが今回の記事です。
古代小麦を使うメリット
古代小麦とは、現代の小麦と違って品種改良がほとんどされていない小麦の総称です。代表的なのは以下の3種類。
- スペルト小麦(ファッロ):軽やかで消化しやすく、甘みが感じられる
- カムット小麦:ナッツのような香ばしさ、揚げ料理に合う
- エンマー小麦:古代ローマ時代から食べられてきた歴史ある品種
これらはミネラルや食物繊維が豊富で、噛むほどに甘みが広がるのが特徴。現代小麦よりグルテンが少ないため消化しやすく、健康志向の方にも注目されています。
アルヴォルトロに古代小麦を使うと、生地そのものの風味が際立ち、油で揚げても重たくならず、香ばしい香りが楽しめます。
材料
- 一次発酵済みのパン生地 … 適量
- 揚げ油 … 適量
仕上げ用
- 塩 または 砂糖 … お好みで
※おすすめの生地
- 低フォドマップ導入期☆基本のパン生地
- 古代小麦Kamut+Speltパン生地
- 古代小麦☆カムート小麦100%のパン生地
1.一次発酵済みの生地をお好きな分量で丸く延ばす。

2.フライパンで揚げ焼きにする。両面がきつね色になればOKです。

3.油を切って、お好みでお塩orお砂糖を振りかけたら出来上がりです!!

美味しく作るためのコツとポイント
生地は薄めに伸ばすと、パリッと軽い食感に仕上がる。
油の温度管理が重要。低いと油っぽく、高いと焦げやすい。
揚げたてで食べるのが一番の贅沢。冷めると風味が落ちるので、少量ずつ揚げるのがおすすめ。
塩味はおつまみに、砂糖味はコーヒーや紅茶のお供にピッタリ。
アルヴォルトロの魅力と食文化
アルヴォルトロは、イタリアの家庭や祭りで古くから親しまれてきた伝統的な揚げパンです。ピザ生地を使いながらもトッピングをしない点が特徴で、小麦本来の味わいを楽しむシンプルさが魅力。
ベヴァーニャの中世祭では、当時の調理法を再現しながら提供され、観光客だけでなく地元の人々も楽しみにしています。まさに「食べることで歴史を体験する」料理といえるでしょう。
家庭で作るときも、特別な材料はいらず、発酵済みの生地さえあればすぐに作れるのが嬉しいポイント。冷蔵庫に生地を常備しておけば、急なおやつや来客時のおもてなしにも活躍します。
まとめ
アルヴォルトロは、イタリア中世祭の雰囲気を思い出させる素朴な揚げピザ。古代小麦を使うことで、香り高く奥深い味わいに仕上がります。
塩味と砂糖味、両方を試してみれば、お酒のお供にもスイーツにもなる万能な料理に。シンプルながら「また食べたい」と思わせる力を持っています。
ぜひご自宅で揚げたてを味わって、イタリアの祭り気分を楽しんでください。